家族信託は行政書士?弁護士?司法書士が失敗しない選び方を解説

「お父さん、今朝も郵便局に行ったの? 先週も同じパンフレット、もらってきてたよ」
「ああ、そうだったか。いや、新しいのが出たと思ってな…」

実家のテーブルに置かれた、全く同じ金融商品のパンフレットの束。以前は几帳面だった父のお金の管理が、少しずつ曖昧になっているのを感じます。(この先実家や財産の管理はどうなるの…? このまま口座が凍結されたら…?)そんな不安から、私は必死で解決策を探し始めました。

そして見つけたのが、「家族信託」という希望の光。そのメリットだけでなくデメリットや注意点についての記事もよく読んで、だいたい理解した。

知識はついた、これで一歩前進できる…。そう思ったのも束の間、いざ実行しようとした時、私は全く新しい壁にぶつかりました。

「家族信託の専門家」と謳う、行政書士、弁護士、司法書士、そして信託銀行のウェブサイト。それぞれのサイトが「当事務所が最適です」と語りかけてくるように見えます。

「費用が分かりやすそうなのは行政書士さんかな。でも、友人は『万が一揉めたら大変だから弁護士がいい』って言うし、ネットで調べると『不動産があるなら司法書士が必須』って書いてある…。一体、誰を信じればいいの?」

一番怖いのは、父のためにと始めたはずなのに、間違った専門家を選んで手続きが止まったり、後から高額な追加費用が発生したりすることかもしれない。

この記事にたどり着いたあなたも、きっと、かつての私と同じように「専門家選びの迷路」で立ち往生しているのではないでしょうか。

専門家選びは、ご家族の未来を守るための、非常に重要な第一歩です。この記事では、あなたの不安を解消するために、それぞれの専門家の役割の違いを明確にし、あなたが「失敗しない専門家選び」をするための判断基準を、司法書士の立場から公平に、そして分かりやすく解説します。この記事を読み終える頃には、あなたの家族に最適な専門家が誰なのか、明確になっているはずです。

目次

【結論】あなたの場合は誰に相談すべき?ケース別・早見チャート

詳しい解説に入る前に、まずは結論からお伝えします。以下の簡単なチャートで、あなたの状況に最適な専門家を確認してみましょう。

【START】あなたに最適な専門家は?

Q1. 親族間で将来揉める可能性は高いですか?

【はい】

弁護士

(財産に不動産があってもなくても、紛争の可能性がある場合は弁護士が最適です)

【いいえ】

Q2. 信託する財産に不動産がある

【はい】

司法書士

【いいえ】

司法書士

or

行政書士

いかがでしたでしょうか?
このチャートが示す通り、信託財産に不動産が含まれるか、そして親族間に争いの可能性があるか、という2点が専門家選びの大きな分かれ道となります。

なぜこのような結論になるのか、次章から詳しく見ていきましょう。

そもそも何が違う?行政書士・弁護士・司法書士の役割と業務範囲

3つの専門家は、法律の専門家という点では共通していますが、それぞれに得意分野と、法律で定められた「できること」「できないこと」があります。

専門家 できること できないこと(主なもの) 特徴
行政書士 ・信託契約書の作成
・各種許認可申請
・不動産の登記申請
・紛争(もめ事)の代理
契約書など、役所に提出する書類作成のプロ。費用が比較的安価な傾向。
司法書士 ・信託契約書の作成
・不動産の登記申請
・紛争(もめ事)の代理
(※一部例外あり)
不動産登記のプロ。家族信託に必須の登記手続きをワンストップで対応可能。紛争を未然に防ぐ視点での契約書作成が得意。
弁護士 ・信託契約書の作成
・不動産の登記申請
・紛争(もめ事)の代理
・特になし
・不動産の登記申請にはそれほど精通していないため、司法書士に任せる場合が多い
紛争解決のプロ。親族間の仲が悪いなど、将来トラブルになる可能性が高い場合に頼りになる。費用は高額になる傾向。

この表で最も重要なポイントは、不動産の信託登記は、司法書士と弁護士にしか行えないという点です。行政書士は契約書を作成できますが、不動産が含まれる場合は、別途司法書士に登記を依頼する必要があります。

なぜ司法書士が「家族信託の司令塔」なのか?3つの理由

家族信託のご相談を受けていると、最終的に司法書士が中心的な役割を担うケースが非常に多いです。それはなぜでしょうか。私たちは司法書士こそが「家族信託の司令塔(ハブ)」に最もふさわしいと考えており、それには3つの明確な理由があります。

理由1:不動産信託に必須の「登記」までワンストップで完結できるから

ご自宅やアパートなど、不動産を信託財産に含めるケースは非常に多いです。その場合、法務局で「信託登記」という手続きが必須となります。司法書士は不動産登記の専門家ですので、信託契約書の作成から、この必須手続きである登記までをワンストップで、責任を持って完結させることができます。

理由2:紛争を未然に防ぐ「予防法務」の視点で契約書を設計するから

司法書士の仕事は、紛争が起きてから解決することではなく、そもそも紛争が起きないように法的な手続きをきちんと整える「予防法務」にあります。

例えば、「長男である私が父の財産管理を任されることになったのですが、遠方に住む妹に『お金を使い込むのではないか』と疑われないか心配で…」というご相談がありました。 このようなケースでは、定期的な財産報告を義務付ける条項も有効です。しかし、私たちはもう一歩踏み込み、妹様を「受益者代理人」または「信託監督人」に指定するという、より積極的な提案をすることがあります。 これは、妹様に「お兄さん(受託者)の財産管理を監督・チェックする正式な権限」を法的に与える仕組みです。これにより、妹様は「監視役」ではなく、「父の財産を一緒に守るパートナー」という当事者意識を持つことができ、兄弟間の信頼関係も深まります。 このように、単に義務を課すだけでなく、ご家族全員が納得できる「仕組み」そのものを契約書に組み込むことで、将来の紛争を未然に防ぎます。これが私たちの考える予防法務です。

理由3:税理士など他士業との「連携」で複雑な案件にも対応できるから

家族信託には、信託税や相続税といった税金の問題が必ず関わってきます。私たちは税務の専門家である税理士と緊密に連携しており、税務上不利になることのない信託の設計を一緒に考えます。司法書士が司令塔となり、必要に応じて各分野の専門家とチームを組むことで、お客様にとって最適な解決策をご提供できるのです。

後悔しない!専門家を選ぶための5つのチェックポイント

どの専門家に相談するか方向性が決まったら、次は「どの事務所を選ぶか」が重要になります。後悔しないために、ぜひ以下の5つの点をチェックしてください。

  1. 家族信託の相談実績は豊富か?

    「家族信託できます」と謳っていても、実績や経験はその司法書士や行政書士などによって様々です。具体的にどのようなケースを手がけてきたのかを尋ねてみましょう。

  2. あなたの家族の話を親身に聞いてくれるか?

    家族信託は、法律だけで解決できるものではありません。家族の歴史や想いを丁寧にヒアリングし、最適なプランを一緒に考えてくれる専門家を選びましょう。

  3. 明確な料金体系を提示してくれるか?

    契約前に、総額でどれくらいの費用がかかるのか、内訳も含めて分かりやすく説明してくれる事務所は信頼できます。「コンサルティング料」「登記費用」「公正証書作成費用」など、何にいくらかかるのかをしっかり確認しましょう。

  4. 契約後のアフターフォローについて説明があるか?

    家族信託は契約して終わりではありません。数十年続くこともあります。契約後の定期的な見直しや、状況変化に応じた相談に乗ってくれるかなど、長期的なサポート体制についても確認しておきましょう。

  5. 【地域の方へ】地元の事情に精通しているか?

    これは特に横浜市青葉区やその近隣(都筑区、緑区、川崎市宮前区など)にお住まいの方に重要なポイントです。地元の金融機関の対応や、地域の公証役場の慣習などを把握している専門家は、手続きをスムーズに進める上で非常に頼りになります。地域に根ざした事務所かどうか、というのも一つの判断基準です。

まとめ:大切な家族のために、最適なパートナーを選びましょう

この記事では、家族信託の専門家選びで失敗しないための判断基準を解説しました。

  • 将来の争いが心配なら「弁護士」
  • 不動産があり、争いがないなら「司法書士」
  • 不動産がなく、争いもないなら「行政書士」も選択肢

最適な専門家は、あなたの家族の状況によって異なります。この記事で解説した判断基準を元に、ぜひあなたの家族にとって最高のパートナーとなる専門家を見つけてください。

なお、この記事では専門家選びに焦点を当てましたが、その大前提として、ご自身の状況に「家族信託」が本当に最適かを見極めることも大切です。認知症対策には、よく比較される「任意後見制度」という選択肢もあります。家族信託と任意後見の違いを解説した記事もぜひご一読いただき、最適な制度を選んだ上で、信頼できる専門家を見つけることが後悔しないための鍵となります。

もし横浜市青葉区やその近隣で、「まずは誰かに話を聞いてみたい」「うちの場合は誰に頼むのがベストなの?」といった具体的なご相談がございましたら、当事務所が初回無料でご相談を承ります。あなたとご家族の想いを実現するため、最適なプランを一緒に考えましょう。お気軽にご連絡ください。

もちろん、首都圏の方への出張やオンラインによるご相談も承っておりますので、まずはお気軽にご連絡ください。

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